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国文学専攻:教育目的
国文学の研究史は千年を超える伝統を享けて今日がある。国文学は日本における人文学の要である。日本語を生きる日本人にとって、国家のどのような事態にも、いついかなる時代の変化にも動じることなく普遍の研究対象である。いや20世紀来、日本文化の基底に魅了される外国人も増え、すでに日本語は世界文明を考える時の重要な「ことば」にもなってきている。そして古典研究の分野でも相当な成果が挙げられている。かつて、現代語訳から多くの外国語訳が生まれて海外に紹介されたが、たとえば今日フランスでは、複数の研究者が『源氏物語』原典を精密に読み、新しい仏語版を形成しつつある。また国内外のさまざまな場所で、日本を考えることを通じて新たな世界認知・認識を得ようとする動きも少なくない。そのことは食文化をはじめ諸領域で日本に注目し、それによって行き詰った壁の突破と新たな文化の創造へ向かうエネルギーの獲得に結びついている。わが国でも高齢者の増加、少子化等の現状で己を根底から見つめなおそうとする場に古典作品を読む行為がみられる。『源氏物語』をはじめ中学、高校で知った作品を、落ち着いて、きちんと読む人も増加している。そのことは長寿化とともに、世界ではじめて体験することになる日本文明がやはりその基本を自らの言語をたどりそこでふだんは考えてみたこともない、自分の本当の姿を確かめたいという気持ちの表れではないかと考えることができる。
そういうとき本専攻の教育目標はテキストの読解方法をさまざまに展開し、データ形成、分析等を通じて、いままで見えなかった事象を見、想像力を発揮することから、新たな世界発見に通じる研鑽をしようというのである。研究とはつい終わることのない営みである。一見、もう何も彼もが終わっていて、新しく手をつけることができないと思う平凡な目を鍛え、見えぬものを見、聞こえぬものを聞くことができる非凡な身体を作ることに似ている。それらは不可能なことではなく、徹底した「読み」への絶え間ない努力から生まれてくる創造の世界である。
本専攻はとりわけ詩歌を正確に読むことをひとつの柱とし古典作品への接近を常に中心い置いてきた。そのことは近・現代の作品を読む上で実は重要な要素となるものとの確信から生まれている。「ことば」の底を味読玩昧することがすべての学に通じる基底の部分なのである。スタッフは基本目標ここに掲げている。
